No.010-白内障といわれたがすぐに手術をしないといけないのか
よくあるご質問です。
当院にいらっしゃる患者様で「よその眼科で白内障だから手術が必要といわれた。本当に必要なのか?」といって来院される方がいらっしゃいます。
結論からいえば「日常生活で不自由を感じるまでやる必要はない」です。
ずいぶん適当な言い方だな!と思われかもしれません。
実際に「よその眼科で医者から「手術するかどうかは自分で決めてください」なんて言われた!医者なのに無責任な言い方だ!」と怒ってこられる方もけっこういます。
確かに、その眼科医の言い方に問題はあったのかもしれません。
でもやはり「ご自身が日常生活で不自由を感じるならやるべき」なのです。これには理由があります。それは白内障という病気の特殊性です。白内障という病気はかなり進んでも「白内障そのもので失明することはない」のです。
もちろん本当の本当に行き着くところまで進んでしまったら、2次的に緑内障になったり、眼球内に炎症を引き起こしたりする場合はあります。この場合は例外です。そこまで進むと、医師の方も手術を強く勧めます。
白内障と言われた方で、ご心配な方は、そういった危険性がないかどうか眼科で聞いておくとよいでしょう。でも一般にいわれている白内障そのものでは失明することはまれなのです。
なので網膜剥離のように急いで手術をする必要もありません。かなり待てるのです。白内障は時間的に短くて痛みもほとんどない手術です。ですが、やはり手術には違いありません。
手術であるからには、本当にごくごくまれですが、手術中や手術の後に合併症をおこすこともあり、その中には失明するような合併症もあります。
そのような合併症は、現代でも世界中のどんな大学病院や、有名な眼科病院でも必ず一定数は起きており、残念ながらいまだ不可抗力と言わざるを得ません。
学会や研究会では、白内障術後に合併症が起きないようにする方法がないものかと、日夜研究されているため、頻度は減っているものの、残念ながらまだ完全予防にはいたっていません。なので、まだしっかり見えていて、日常生活になんら不自由していないのなら、白内障の手術は無理にやることはないと私は思っています。
合併症を起こす可能性が0の手術ならば早くやったほうが気分的にすっきりするでしょうが、少しでもリスクがあるのなら必要なときが来た時にやるべきです。
「それでも、自分では決められない。先生決めてくださいよ!」とおっしゃる患者様も実際は多くいらっしゃいます。
そのような場合には、外出中、通りすがりの人の顔が見えないとか、視力が0.7以下になってきたら「そろそろ手術しましょうか」とご提案しております。
あるいは白内障もある程度進むと、水晶体が硬くなって手術に時間がかかる場合があります。そうなる前に私から手術を勧めることもあります。