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よくあるご質問

No.039-屋外で長くいる人ほど近視が進みづらいのは本当か

そういう報告は日本でもありましたが、2016年12月にイギリスの研究者らが、多施設共同研究での多くのデータをもとに「屋外に長くいる人ほど近視は進みづらく、特に14~29歳でその影響が大きい」という報告をしました。
屋外で紫外線B波(UVB)に多く浴びることが、近視が進みづらくなる要因の一つといわれています。

No.038-飛蚊症は治せないのか?

飛蚊症とは、眼の中の「濁り」です。

眼球の中は大部分が硝子体(しょうしたい)という透明なゼリーみたいな物質で満たされています。
この硝子体は99%が液体で、残り1%はヒアルロン酸とコラーゲンいう成分の割合になっています。

年を取ると、このうちのヒアルロン酸が減少してきて、さらにコラーゲンも縮んできます。
すると硝子体がしぼんできて眼の中に隙間ができ、濁ってきます。これを後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)といい、飛蚊症はだいたいがこの後部硝子体剥離が原因です。

基本的に飛蚊症が自然に消えることはあまりありません。目薬や飲み薬で消すこともできません。
ただし飛蚊症=眼の中の濁りは視野の中心からずれることが多いので、日常生活に支障をきたすことはほとんどありませんが、「うっとおしくてしょうがない」と感じる方はとても多いです。

飛蚊症の場合、日本では、どこの眼科にいっても「目の中の濁りで、害はないですが、どうしようもないので我慢してください。変化があればきてください。」と言われます。

しかし、最近、アメリカでは手術をして飛蚊症を減らすケースが増えています。硝子体切除術(しょうしたいせつじょじゅつ)という手術ですが、本来これは白内障よりもリスキーな手術です。

以前は糖尿病網膜症や網膜剥離など、限られた網膜の病気にたいして行っていた手術でした。
しかし近年、23ゲージ、25ゲージ、27ゲージというタイプの、これまでよりも目を小さく切開できる硝子体切除術がでてきたので、手術による合併症のリスクがさがり、アメリカでは飛蚊症に対してもこの手術を行うことが増えてきています。

ただしリスキーなことに変わりはなく、アメリカのデータによると飛蚊症に硝子体切除術を行うと、1割くらいの人が後から網膜剥離になるというデータがあるようです。

それでも、うまくいって飛蚊症が軽快した場合は患者様の満足感が相当なものらしく、アメリカではたとえ1割のリスクがあっても飛蚊症を減らしたいという人が多いとのことです。

こういったことから将来は、日本でも「飛蚊症を手術で治す」という治療がひとつの選択肢になってくるかと思います。

手術を決断する場合はノーリスクではないことをしっかり理解して検討することが望ましいと思います。

No.037-網膜色素変性は治らないのか? 人工網膜~不治の病を克服できる時代

網膜色素変性症は日本の失明原因のトップ5に入る病気でありながら、長年治療法のない病気として、眼科医、患者様を悩ませてきました。
網膜色素変性症に効果があるとされる内服薬もありますが、特効薬とは言い難く、残念ながら失明状態になってしまって、その後どうすることもできないことがしばしばあります。
しかしながらここにきて、この病気を改善させる治療法がいくつか出てきています。これはすごいことだと思います。
現在、注目されている新しい治療法は
①遺伝子治療
②再生医療
③Optogenetics
④人工網膜
といったものがあり、④の「人工網膜」は日本およびアメリカやドイツなどで実際の患者様に行われ、成果をあげています。
人工網膜とは
簡単に言うと、網膜色素変性によって眼の痛んでしまった部分の代わりに、すごく小さいCCDカメラで代用しようということです。
メガネにCCDカメラをくっつけて、そのCCDカメラの映像を体内に埋め込んだ小さな装置などを経由させ、眼球に送り、物が見えるようにする、といったものです。
今はまだ「ばっちり物が見える」というわけにはいかず、また本来のナチュラルな見え方とはかなり違うようで、物の位置がわかる程度の見え方らしいのですが、中には今までほとんど物が見えなかったのに、茶碗とお箸の区別がついたりするようになった例もあるようです。
ほとんど物が見えなくなってあきらめていた方がここまで回復するのは素晴らしいことだと思います。
今後、CCDカメラやその周辺機器の性能はどんどん上がっていくと思うので、私個人的には、「これは将来、現状よりも相当なところまで見えるようになるのではないか」と期待しています。
 

No.036-スティーブンス・ジョンソン症候群で眼科で「視力がでない」と言われた。

スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は飲み薬などの薬剤の副作用がで、高熱がでて、くちびる・口の中の粘膜、眼、外陰部や全身がただれる深刻な病気です。
年間100万人あたり3人くらいに発症しています。そのうちの3-10%は亡くなることもあります。
眼もただれるので、黒目の表面が凸凹になったり、黒目が濁ったりとという後遺症が残ります。そのせいで凸凹によるドライアイや、乱視のためにメガネやコンタクトでも視力が上がらず、再び見えるようにするためには角膜移植などの手術をするしかありませんでした。
しかしながら、最近これに対し、特殊な形状のハードコンタクトレンズを使用して視力改善させようとする治験が行われ、薬事承認を得たようです。
スティーブンス・ジョンソン症候群でただれた黒目は表面が凸凹しているのですが、このコンタクトはレンズの中心部が膨らんでいるので、黒目とコンタクトの間にスペースができ、そこに十分な涙が貯められる構造になっています。そのため黒目の凸凹があまり関係なくなり、また乾きにくくなっています。
実際の患者様ではこの特殊コンタクトレンズによって視力が0.05→0.5になるなど、満足感も得られているようです。
まもなく商品化されるかと思いますが、手術という高いハードルのみでなく、ハードコンタクトレンズで少しでも視力が上がれば、患者様もハッピーになると思います。
 

No.035-網膜芽細胞腫とはなにか

網膜芽細胞腫とは
こどもにおきる眼の中の「ガン」です。1万5千人に1人くらいに起きます、95%は5歳までに診断され、日本では年にだいたい80人 が発症しています。早期発見、早期治療すれば、90%以上は治ります。しかし眼球の外へ広がったり、転移したりすると命とりになることがあります。片眼のことが多いですが、「片眼か両眼か」や「腫瘍の大きさ」によって、どうやって治療するかが大きく変わってくるので、病気の状態を正確に知って治療することが大切です。
原因
RB 遺伝子という「遺伝子」の異常で発症すると考えられています。RB遺伝子は、13番染色体の長腕というところにあり、細胞が分裂するのを制御しています。 RB遺伝子が働かなくなると、細胞分裂の歯止めが利かなくなるので、細胞が「がん」になってしまいます。両眼性はすべて遺伝子の異常です。片眼性の場合、一部は遺伝性 があります。
症状
写真を撮ったときなどに、瞳が白く光って見える「白色瞳孔(はくしょくどうこう)」で気づかれることが最も多いです。最近はスマートフォンで子供の写真をとることが増えたため、スマホ(フラッシュあり)で白色瞳孔に気づいた、というニュースもありました。悪化すると、視力が悪くなったり、片方の眼球が違う方向を向く「斜視」になったりします。さらに進行すると、眼が赤くなったり、まぶたが腫れたり、眼が大きくなったりします。
診断
瞳孔を開く目薬を用いて、眼底(網膜)の検査を行います。このとき5歳以下のこどもの眼の中に白い腫瘍があれば、網膜芽細胞腫を強く疑います。さらにCTスキャンで骨のように白く見えるもの(石灰化)があれば診断はほぼ確定します。
あとMRIで腫瘍の大きさやひろがりもチェックします。確実な診断は、眼球を取って腫瘍の細胞の広がりを顕微鏡で調べます(病理検査)。
網膜芽細胞腫が強く疑われる場合には、転移や重複癌がないかどうか、全身を調べる必要があります。そのほか診断材料として遺伝子診断や血清腫瘍マーカーなどもありますが、現状では補助的なもので、網膜芽細胞腫の確定診断は眼底所見と画像所見をもとにした臨床診断が原則です。
治療法
網膜芽細胞腫は進行すると、視神経を通って脳へ広がったり、血液や脳の周りをめぐっている水(脳脊髄液)を通って全身へ転移します。眼球の中だけにとどまっているのか、もしくは眼球の外にまで腫瘍が広がってしまっているかどうかで治療の方針が違います。
ただ、眼球の中だけに腫瘍がとどまっていたとしても、腫瘍の大きさや範囲(=進行度)、両眼なのか片眼だけなのかによって異なります。治療は、眼球を取り除く方法と眼球をなんとか取らないようにする方法があります。
残念ながら腫瘍が大きくて視力の改善が期待できなければ、眼球ごと腫瘍を取り除きます。 眼球を取った後は、義眼(ぎがん)をはめて、見た目にはわからなくします。
眼球を取らずに保存する治療法には、化学療法(抗がん剤)、 レーザー治療、冷凍凝固、放射線での治療などがあります。アメリカでは保存療法が増えており、日本でもだんだんその方向に向かっていますが、どうしても眼球を取らざるを得ないケースがあるのも事実です。
化学療法は、数種類の抗がん剤を組み合わせて全身に投与する治療で、現在の保存療法の主流となっています。 レーザー治療と組み合わせて行います。一時的に髪の毛が抜けたり感染症にかかりやすくなるなどの副作用があります。また生殖機能に影響が出たり、白血病などを生じる危険もあります。
レーザー治療、冷凍凝固などは局所療法なので小さい腫瘍に対して行ったり、併用療法として用います。
放射線での治療は、効果的ですが、骨の発育を妨げたり、顔面が変形したりする恐れがあります。また放射線によって将来、別の癌(二次がん)を引き起こす可能性が高いことがわかっています。
どの治療法をどう組み合わせて行うかは、眼科、小児科、放射線科がお互いに検討して決めていきます。
予後
生命予後は、5年生存率93.1%、10年生存率90.6%と報告されています。眼球外に腫瘍が広がってしまっている場合には、5年生存率71.2%、10年生存率66.0%に低下してしまいます。
眼球保存率(目をとらずにすむ確率)は、全体で約50%程度です。

大切なこと

予後からもわかるように、早期発見が大切ですので、5歳以下のお子様に「瞳が白く光る」「視線があいにくい」等の症状があれば、早めにお近くの眼科を受診し、眼底検査をしてください。

No.034-サングラスはどんな色がいいのか?

夏になると日差しが強くなってきます。この季節になると「サングラスをした方がいいんですか?するならどんな濃さと色がいいんですか?」という相談を受けることが増えてきます。サングラスは単に色のついたメガネではなく、JIS(日本工業規格)で法的に定められています。
なので以下の3つを考慮しながらベストのレンズをお勧めします。

  • 色:色によって全部の色のカットするのか、それとも特定の波長の色をカットするか違ってくる。
  • 視感透過性:どれくらい光の量を通すのか?100%に近づくほど明るい。
  • 紫外線透過率:低いほど有害な紫外線をカットする。購入する場合は紫外線透過率は1%以下を目安。

・運転用のサングラス
赤、黄、緑、茶は特定の波長の光を吸収し、信号の色が見づらくなるのでJISで運転不適合です。さらに、視感透過性が75%以下のレンズでは、夕方や雨天・曇りなど薄暗い場所での視力が低下します。
車の運転用:グレーのレンズで視感透過率が80%以上のサングラス
をお勧めしています。視感透過率が75%以下になると夜間運転不適合です。
視感透過率とは・・・レンズが目に見える光(可視光線)をどれぐらい通すのかを表しています。数値が100%に近づくほど光を通す量が多くなります。
 
・パソコン・スマホ作業時のサングラス
PCの画面がチラチラするのは波長の短いの青色系なので、
パソコンのチラチラ防止:短波長の光を吸収する薄黄色のサングラス
をお勧めしています。
*但し、デザイナーなど色を扱う業種なら黄色のサングラスでは色の感覚が狂うので、すべての波長の光を均一に吸収する薄いグレーのレンズのサングラスをお勧めしています。
 
・白内障の手術後のサングラス
白内障の手術をするとそれまでと色が違って見えることがあります。術後は「白内障というサングラス」がなくなり大量の光が入るようになります。また水晶体 で吸収していた波長の短い光も入ってくるので、その結果まぶしさや、色の感覚が変わって見える場合があります。対策としては波長400nm以下の光をカッ トして、もともとの人間の水晶体に近づける専用のサングラスがよいということになります。
HOYAのRETINEX SOFTというレンズをお勧めしています。
 
・ゴルフ用のサングラス
直射日光に邪魔されず、芝目をはっきり見る必要があるため、紫外線をカット、そして緑がくっきり見えるように
ゴルフ:茶色のサングラス
をお勧めしています。
 
・海や釣り用のサングラス
水面からの反射がまぶしいです。水面から反射した太陽光線が偏光になっているため、反射光を遮断するために
海や釣り用:偏光サングラス
をお勧めしています。
・網膜色素変性症で暗いところが見づらい方へのサングラス
網膜色素変性症では明るいとことから暗いところへ入った時に見えにくいという訴えがあります。対症的な方法として、遮光眼鏡(通常のサングラスとは異なる レンズ)をお勧めします。遮光眼鏡は明るい場所から急に暗い場所に入ったときになかなか目が慣れない症状に対して有効であるほか、物のコントラストをより はっきりさせたり、また明るいところで感じる眩しさを減らしたりします。

No.033-目薬でもドーピング検査にひっかかる?

最近、テニスや陸上競技などで、禁止薬物を使っていたということで、出場禁止処分を受けたというニュースが世間を騒がせました。
明らかに競技に勝つために、禁止薬物を使用すると思われがちですが、中には風邪薬などに含まれている成分が、禁止薬物に指定されていることを知らなかったりすることもあり、そのために処分を受けるようなことがあれば、大切なキャリアの一部を無駄にしてしまうこともありえます。
眼科で処方される「ベータ遮断薬」というタイプの緑内障の目薬は、特定の競技では禁止されています。たとえ目薬でもダメ、という決まりになっているので注意が必要です。
さらに気をつけなくてはならないのは、「ベータ遮断薬」は分類名であり、商品名ではないということです。たとえば目薬に〇〇という商品名が書いてあっても「ベータ遮断薬」とは書いてない場合もあります。
下記にベータ遮断薬が禁止されている競技を記します。該当するアスリートの方で、万一緑内障の目薬を使用されている方はご自身が使われている目薬が「ベータ遮断薬」というタイプのものでないかどうか、主治医に確認しておくといいと思います。
ベータ遮断薬が禁止されている競技(点眼薬においても除外されていない)
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競技会(時)および競技会外においても禁止
・アーチェリー ・射撃
競技会(時)に限って禁止
・自転車 ・ビリヤード ・ダーツ ・ゴルフ ・スキー/スノーボード
・水中スポーツ
 

No.032-目が乾くので眼科でもらったドライアイの目薬を何回もさしてよいか?

それはよくないです。眼科でよく出されるドライアイの目薬は
 
①人工涙液
②ヒアルロン酸製剤
③ジクアホソルナトリウム
④レバミピド
などがあります。
これらは基本的に一日4回、眼科医が許可した場合は多くても一日に6回までです。
市販目薬や、眼科で処方される目薬には防腐剤が含まれていることが多く、何度も点眼していると防腐剤によって角膜(くろめ)に傷がついてしまうことがあります。
最近は防腐剤の入っていない目薬もありますが、これらも決められた回数をこえて頻繁に点眼するのは控えた方がよいでしょう。
本来、角膜(くろめ)には涙の膜があり、これが目を保護しています。また涙には、外から入ってくる菌に対し殺菌したり、角膜(くろめ)のキズを治したり、眼に酸素や栄養を運んだり、とたくさんの役割があります。
防腐剤が入っていないからといって、目薬を決められた回数以上に何度もさしていると、この大切な涙が洗い流されてしまい、かえって症状が悪化することがあります。
 

No.031-近視が進まない方法は?(低濃度アトロピン点眼~こどもの近視が進まないようにするための新しい試み)

こどもの目が悪くならないようにすることは、親御さんにとって昔から切実な望みです。そのために色々研究されています。これまでもいくつか報告されていますが、主にメガネ(累進屈折力眼鏡、軸外収差抑制眼鏡とよばれるメガネ)や目薬(ピレンゼピン塩酸塩やアトロピンとよばれるメガネ)です。でもこれらは日本では手に入らなかったり、高価だったり、副作用があったりでなかなか実際やるには難しいところがありました。
でも最近、アトロピンという目薬をすごく薄くして、毎日点眼すれば近視が進みづらくなった、という報告が海外の有名な学術雑誌に掲載され、注目を集めています。
そもそもアトロピンという目薬は、斜視弱視専門の眼科医にとっては、なじみが深く、主に内斜視(より目)に対する検査や弱視の治療に使っています。私も斜視弱視外来でよく処方します。
でもまぶしかったり、みづらくなったり、発熱したりと、これらは一時的ですが、副作用が少し多い印象があります。このアトロピンを小児眼科の特殊な検査だけでなく、実は近視予防にも使えるということは以前からわかっていました。
が、前述の副作用のため、親御さんも嫌がることが多く、斜視や弱視のためにどうしても必要で使うならまだしも、近視予防の方法としては今一つ流行りませんでした。
この使いづらいアトロピンですが、「実は100倍くらいに薄めて使っても、近視がそこそこ進みづらくなる」ということが報告されたのです。100倍くらいに薄めているので副作用がでづらい、というところがポイントです。
私自身の感想としては「100倍薄めても近視予防に効くならいいなあ、患者様にお勧めしようかな?」という感じです。ちなみに私は斜視弱視外来では、赤ちゃんとか6歳未満の小さい子の内斜視検査では2倍薄めで使っています。たまに副作用がでて中止しますが、重大なことになったことは一回もありません。なので経験的に100倍薄めればまず大丈夫だろうとは思います。
今後、日本でもこの近視予防法が広まる可能性は高いと思います。実際、日本でもこの「100倍薄めたアトロピン目薬」の研究が各大学病院で始まろうとしています。すでに、「やってみたら副作用がほとんどなかった」という論文も国内でで初めていて、こどもの近視予防のための簡単かつメジャーな選択肢になるかもしれません。

No.030-テレビを近くで見ると目が悪くなるのか?

学校健診の時期になりました。この時期では特にそうなのですが、小中学生のお子さんを持つ親御様から、「テレビを近くであまり見ない方がよいですか?」という、質問を受けます。テレビを近くでみると目は悪くなります。
テレビに限らず、何をするにしろ近づきすぎてみていると、近視が進んで目は悪くなります。
学童期に目が悪くなるのはほとんどが近視(近眼)が進むからです。このくらいの年でそうなるのは親が目が悪かったことよりは、生活環境が原因だと報告されています。さらにどんな生活をしていると近視が進むか日本や海外で研究されその報告がたくさんありますが、ざっとまとめると
<近視が進む原因>
①近くを見すぎている
②都会での生活
③知能指数が高い
④学歴
②③④に関しては、そのこと自体が原因になるわけではないような気がします。都会で生活するとスマートフォンやパソコン作業をする機会が増え、①の「近くを見すぎる」時間が増えますよね。③④も最近では中学受験をするお子さんが増えました。すると小学生が終わった後に夕方から塾に通って9時まで勉強したりするので必然的に①の「近くを見すぎる」時間が増えます。結局、大きな原因としては「近くを見すぎている」ということだと推測されます。
今年の眼科学会誌に面白い論文が発表されました。
東京都と小笠原諸島にそれぞれ住む小中学生に対し、視力健診の結果がどれくらい違うのか調べたところ、小笠原諸島に住む小中学生の方が明らかに視力が良かったという結果が報告されました。
さらにこの研究では、小笠原諸島にテレビ放送が始まる前と始まった後ではそこに住む小中学生の視力がどうなったか、ということも同時に調べました。すると、テレビ放送が始まってからだんだん視力が悪くなってきているという結果でした。
こういった研究からもテレビを見ると視力が悪くなるという可能性は十分あると思います。

No.029-学校健診で視力が右0.3左0.4だった。視力を回復させる方法はないのか?

過去の質問「よくある質問Q&A 近視は治るのか?」でも触れましたが、視力回復の方法についてはご質問が多いので再度取り上げます。

まず、眼球の形自体が近視の形になってしまっている場合は、手術をするしか裸眼の視力を回復する方法はありません。
手術というのは、よくテレビでCMされている「レーシック」や「目の中にレンズを埋め込む」手術です。

特に強度の近視の場合は、眼球の前後の距離(眼軸長)が伸びている場合が多く、この場合は、手術以外での裸眼視力回復は物理的に不可能です。

「視力回復センター」を名乗る業者が「強度近視でもどんな近視でも効果がある」などと広告している場合がありますが、「どんな近視でも改善する」というのは、ありえません。過大広告です。

ひどい例だとチラシに、強度近視のために網膜に変性が起きているような症例の眼底写真が載っており、視力回復センターに通うことによって近視が治り、眼底の変性も治った(変性のない眼底写真提示)、などと書いてありました。

強度近視による網膜変性は現代医学では治療不可能です。
もし治療方法を発見して、学会で認められれば世界的なニュースになるはずです。

視力回復センターに通って、仮性近視なら改善することがあるかもしれませんし、まじめに取り組んでいる業者もあるかもしれません。
でも「どんな人でも視力が回復する」と謳う広告の業者は要注意です。

お子様の目をよくしてあげたいと一心に思う、親御様の気持ちにつけこんだ過大広告としかえいない商法も時々見かけるため、あえてここで記述しました。

手術以外で、視力が回復する可能性があるのは「仮性近視」の場合だけです。「仮性近視」とは、ゲームや読書など近くを見る作業を長時間行うと、一時的にピントが近くによったままになり、しばらく戻らなくなることです。

この状態で遠くをみても、普段よりもぼんやり見え、視力を測ってもいつもよりも低い結果になります。

小学生や中学生など若い人は、大人よりも近くのものにピントを合わせる力があります。だんだん年齢と共に近くにピントがあいづらくなり、しまいに近くがみえなくなると、老眼ということになります。

若い人は、近くを見る力が強すぎるために、本人が望まなくてもピントが近くによったままになりがちです。
さらに普段からDSやPSPなどの携帯ゲーム、スマホなどを長時間操作していると、一日の大半が仮性近視の状態に陥っていたりします。

こういった場合には「ピントを近くに寄せる筋肉を緩める目薬」を治療に用います。一日一回夜寝る前に毎日点眼し、毎日筋肉の緊張をとり、仮性近視状態から脱出させていきます。
目薬と同じ効果を、ワックという会社の機械で行う場合もあります。

「仮性近視の点眼による治療」を効果がないとし、「仮性近視」の存在そのものをも否定している眼科医もいます。

しかしながら、そもそも近視の原因についてはよく分かっておらず、遺伝要素(親が近視)と環境要素(近くをたくさん見る)が複雑にからみあって起きると考えられています。
原因がはっきりわかっていないものに対して「存在しない」「効果がない」と断言することはできないと思います。

私個人の考えとしては、現実的に日々の臨床の中では、やはり読書やゲームを多くしているお子様に裸眼視力が悪くなる方が多い気がします。
そういったお子様はまず仮性近視から始まることが多いので、仮性近視は本当の近視の入り口になりうるという意見には比較的肯定的です。

なので、自分のクリニックでは、仮性近視の可能性についてご説明し、リクエストがあれば、仮性近視を取り払うための目薬による治療や、ワックを用いた訓練も積極的に行っています。

No.028-今まで言われたことがなかったのに、学校健診で視力低下を指摘された

たしかに急激に近視が進み、視力が落ちることはあり得ます。原因はほとんどが近視です。
今まで裸眼で1.0以上見えていたお子さんが、半年くらいの間に近視が進み、0.3くらいになることもあります。
ただし、小中学生の場合、本当に近視になってしまっているとは限りません。
学校健診は、大勢の生徒の視力を急いで測らなくてはならないので、低く出ることがあります。はっきり確信がないと答えない性格のお子さんの場合だと、実際は見えている視力よりも低く判定されてしまったりすることもあります。
あとは、いわゆる「仮性近視」の状態で視力を測ると、本当の視力よりも低く出ることがあります。仮性近視とは、たとえばゲームや読書を長時間やると、ピントがゲームの距離でフリーズしたままになり、遠くをみてもぼんやりしてしまう状態です。しばらくするとフリーズは解除されて遠くが見えてくるのですが、その前に視力を測ると、いつもの見え方より低い結果になってしまいます。
眼科で視力を測るときに仮性近視が疑われた場合には、仮性近視をとるような処置をして改めて視力測定をしたりします。なので、学校健診で低い値がでたからといって、本当に近視になっているとは限らないのです。

No.027-コンタクトレンズをつけたまま眠ってもよいか

コンタクトレンズを付けたまま眠ると、角膜(黒目)が酸素不足におちいり、重大な目の症状を起こすことがあります。
また、涙は起きているときは目を潤すために知らないうちに少しずつ分泌されています。眠っているときはまぶたが閉じているために、目を潤す必要がないので涙はほとんど分泌されていません。
なので、コンタクトをつけたまま眠ると起きた時に、渇きのせいで張り付いてコンタクトがはずしにくくなり、無理に取ると目を傷めてしまうことにもなりかねません。
実際に外来には「昨日、コンタクトレンズをつけたまま眠ったら、今朝、目が真っ赤になり痛い」という訴えでいらっしゃる患者様が、週に2,3人はいらっしゃいます。眠るときは必ずコンタクトレンズを外すようにしてください。ちょっとした居眠りや昼寝のときにもはずしたほうが良いです。
連続装用のコンタクトレンズなら、つけたまま眠ることもできるものがありますが、それでも裸眼よりも角膜にかかる負担は大きくなると思うので、私個人としてはあまりお勧めしていません。

No.026-ブルーフィルターのメガネは使うべきか

「最近ブルーフィルタメガネなる広告を見るが、やはり使ったほうがいいのでしょうか?」と、たまに聞かれるようになりました。
ブルーフィルタというのは主にパソコンやスマホの液晶画面から発せられる「ブルーライト」と呼ばれる光をカットするフィルタです。なのでブルーフィルタのメガネというのは、ブルーライトをカットするメガネということになります。
ブルーライトとは目で見える光のうち、紫外線に近い波長の光のこととされています。紫外線は加齢黄斑変性や白内障など、目に対する有害性が認められています。なので紫外線に近いブルーライトは長時間浴びることにより、同じような目の病気を引き起こすのではないかという意見もあります。
あと、目の中の網膜には、外界の光を感じて体内時計に影響する細胞がある、という報告もあります。この細胞がブルーライトに長時間さらされると、体内時計が狂うので、パソコンやスマホを長時間やると眠りにくくなるという意見もあるようです。
ただし、これらの意見はまだ予測の域をでず、学会で確実に認められているわけではありません。いろいろな企業からブルーライトをカットすると謳われた、メガネやモニターフィルターが発売されており、それらの企業は口をそろえて「ブルーライトは目に有害!すぐに対策を!」とあおっています。
しかしながら、「企業は利益第一」なのは否めないので、それらの宣伝広告を見ても、ことさらに恐れる必要はないかと思います。
仕事でパソコン作業が長くなりそうな日や、連日になりそうな日は、将来のことも考えて、ブルーフィルタメガネにしておこうかな、くらいでいいのかもしれません。

No.025-こどもはどれくらい見えているのか

新生児集中治療室や小児眼科の外来で「赤ちゃんってどれくらい見えてるんですか?」と聞かれることがあります。
生まれたときははっきり見えていません。成長に伴ってだんだん視力が発達していき、通常3歳くらいで1.0になります。
下に年齢と視力の表を示します。
 

年齢 視力 身体反応
妊娠24週 光を感じる
出生時 0.01
生後3か月 0.04 物を追って見る(追視)
生後6ヶ月 0.1 近くの物を見ると寄り目(輻輳)
1歳 0.2
2歳 0.5
3歳 1.0
6歳 1.0 視力の発達がほぼ終了

No.024-ドライアイはなぜおきるのか

くろめの表面は「涙の膜」でおおわれています。まばたきをするたびに、くろめに新しい「涙の膜」が作られ、くろめが外気に直接触れないよう常にガードしています。この「涙の膜」が壊れると、目が乾いて症状がでてきます。
 
 
「涙の膜」は3層構造になっています。それぞれ
 
・油の層 
・水の層
・粘液の層
 
の3つの層が合わさって「涙の膜」が成り立っているとされています。
ドライアイは、この3層の構造や成分が何らかの形で異常をきたしたものです。瞼の縁には油を出す穴が何十個も並んでいて、ここから絶えず油が出て油の層を作っています。ところがアレルギー性の炎症や雑菌などにより、穴からの油の分泌が悪くなると、油の層が作れなくなります。
水の層は涙腺というところから分泌されるのですが、ビタミン欠乏やシェーグレン症候群などにより涙腺が機能しなくなると、今度は水の層が作れなくなります。
 
粘液の層は結膜から分泌されます。薬剤障害などにより結膜が痛めつけられたりすると、粘液がでなくなります。
 
このように3つの層を壊してしまう原因は多種多様であり、3層のうち、どれか一つでも壊れると目が乾いて、ドライアイになります。
 

No.023-白内障の原因は?

白内障の原因は、ほとんどが年齢によるものです。
「年のせいです」といわれてしまうと、そこで話が終わってしまうので、もう少し学問的な話をします。
 
眼球には、ピントを合わせるためのレンズの役目をしている「水晶体」という組織があります。この「水晶体」は生まれたときは透明で柔らかいのですが、年齢とともにだんだん酸化していくのではないか、と言われています。
もともと人の体というものは、酸化に抵抗するようなメカニズムになっているのですが、そのメカニズムが年を取ってくると弱まって、「水晶体」も年とともに酸化していくのではないかと考えられています。
 
酸化というとわかりにくいかもしれませんが、例えば鉄がさびたりするのは酸化です。あと醤油を開封すると、だんだん色が濃くなって風味が落ちたりするのも酸化です。すなわち酸素がふれると、物質は酸化するのです。水晶体は眼球の中にあり外界と閉ざされているので、直接外気と触れません。
しかし外出したときに、誰でも必ず浴びる「紫外線」が体の中に「活性酸素」を作るので、酸化の原因になると言われています。
 
「水晶体」の場合は、酸化しても鉄のようにさびたりはしませんが、だんだん褐色を帯びて白く濁ってきます。
この状態が白内障です。60歳代で70%、70歳代で90%、80歳以上になるとほぼ100%の人が白内障になっていると言われています。
他にも白内障の原因として、ステロイドなどの薬物や、目をぶつけたなどの外傷、全身疾患に引き続いて起きるものがありますが、年齢が原因の白内障に比べると頻度はごくわずかです。
ちなみに糖尿病網膜症,加齢黄斑変性など、失明原因として重要な目の病気にも、酸化が大きく関わっているのではないかという研究が学会で多く発表されるようになりました。
眼科にとどまらず、「皮膚のしわ」などいわゆる「老化」は酸化が悪者ではないかと考えて、研究されるようになってきました。いわゆる「アンチエイジング」という考え方です。
今後はUVケアや酸化を防ぐ栄養素にますます注目が集まっていくと思われます。

No.022-白内障になるとどんな症状が出るのか

眼球の中には水晶体と呼ばれる、誰もがもともと生まれ持ったレンズがあります。この水晶体は生まれたときは透明な柔らかい組織で、眼球の中の網膜にピントを合わせる役目をしています。
通常、水晶体は老化とともに、だんだん酸化して白く濁ってきます。白髪と同じようなものでこれは避けようがありません。人は水晶体を通して物を見ているので、水晶体が濁ってくると曇ったメガネをかけているのと同じように、物がみづらくなってくるわけです。これが「白内障」です。
「白内障」といっても、水晶体の濁り方に応じて、その種類・程度はいろいろあります。たいていの方は初期は水晶体がまだらに濁ってきます。
すると外から入ってきた光が、水晶体を通過するときに濁った部分で乱反射して、光が目の中で散るので、正常の人が平気な明るさの場所でもとてもまぶしく感じます。なので白内障の初期症状としては「まぶしい」という訴えが多くあります。この段階だと水晶体にまだ透明な部分がたくさんあるので、視力が低下することはありません。
さらに水晶体の濁りが多くなるにしたがって、「物が白くかすんで見える」という症状がでてきます。「道を歩いていて向こうから来る人の顔が見えない」「テレビの字幕がわかりづらくなった」などといった症状が増えてきます。視力も低下し、メガネをかけても1.0以下になってきます。
また人によってはまだらに濁ってくるのではなく、水晶体の中心(核と呼ばれます)が玉ねぎの芯のように白く硬化してくることがあります。水晶体はレンズなので核の硬化によってより強いレンズとなり、その結果近視になります。もともと老眼で近くが見えなくなってきた人が、なぜかだんだん近くが見えるようになって老眼が治ったとおっしゃることがあります。
が、この場合、残念ながら目が若返ったのではなく、白内障がすすんで近視になった結果、近くが見えるようになった可能性があります。「老眼が治った」というのも意外な白内障の症状です。
また昼と夜で、見え方が急に変わる場合もあります。水晶体の前には「瞳孔」といって、目の中に入ってくる光の量を調節する、カメラのしぼりのような役目をしている器官があります。瞳孔は日中など明るいところでは小さく、夕方など暗いところでは大きくなります。そのため、水晶体の端っこのほうが濁っている白内障では、瞳孔が開く日中に物が見づらくなり、中心が濁った白内障では瞳孔が小さくなる夕方に物が見づらくなります。「昼間はまぶしくて外に出られない」もしくは逆に「夕方になると急に物が見えなくなる」という訴えもまた白内障を疑います。

No.021-緑内障になるとどんな症状がでるのか。 またその治療方法は?

緑内障とは視野がだんだんなくなっていく病気です。放置すると視野がすべてなくなり、光も感じなくなって失明ということになります。40歳以上の20人に一人が緑内障と言われています。
緑内障といっても色々な種類のものがあります。
1.もっとも多いのが「正常眼圧緑内障」と呼ばれるもので緑内障の7割はこれです。
2.のこりの3割には眼圧(眼球の内圧)の高くなるタイプの緑内障が何種類かあります。
1.のもっとも多い正常眼圧緑内障ですが、これには初期だと自覚症状がありません。充血や目やに、痛みもありません。
ただ、視野がゆっくり何年もかけて欠けていくのです。眼圧は正常ですが、その圧を受け止める眼球の神経のほうが正常の眼圧であっても耐え切れず萎縮していき、視野がかけていきます。
「じゃあ、私は大丈夫だ。視野の中に見えないところはないから」と言われる方がいますが、それは正しくありません。
意外なことに視野というものは、少しくらい欠けてもなかなか気づかないことが多いのです。景色などをみて「あ!見えないところがある」と自覚するには、相当視野が欠けないと気付かないのです。ご年配の方で片目の視野がほとんどなくなり、ほぼ片目の失明状態になるまで気づかれなかった方もいらっしゃいました。これは極端な例としても気づきづらいことは確かです。「歩いていて右側の何かによくぶつかるようになった」といった自覚症状で眼科にいらっしゃることが多いです。
このように気づきづらい上に20人に1人という頻度の病気であるがゆえに、人間ドックなどでは必ずといっていいほどスクリーニングの対象になる病気です。
治療はまず「眼圧を下げる目薬」です。目薬は作用機序により大きく分けて3種類あり、単独、もしくは組み合わせて使います。
これらの目薬で大体の方は視野の悪化がストップし、生涯心配なく暮らせることが多いのですが、まれに視野の悪化が止まらない方もいらっしゃいます。その場合はレーザーや手術でさらに眼圧を下げます。
つぎに2.の眼圧が高くなるタイプの緑内障ですが、いろいろ種類があります。この中で特に気をつけなくてはならないのが「急性タイプ」です。眼圧がいきなり高くなり、放置すると一晩で失明することがあります。症状は「眼の奥の激しい痛み」です。あまりの痛みに頭痛や吐き気を催すこともあります。頭痛と吐き気のために内科にいってしまい、そこで緑内障を疑われ、眼科に紹介されてくることもあります。
治療は眼球にレーザー光線で眼圧を下げるためのバイパスを作ってあげます。眼圧上昇による黒目のにごりでレーザーがうまく届かない場合は手術をすることもあります。
「眼の奥の激しい痛み」があったらすぐに眼科受診です。急性緑内障は一晩で失明することもあるので、すぐに処置が必要な病気です。「夜中だから明日になったら行こう」などと思わず、救急車を呼んでもいいので必ずすぐに眼科受診してください。
他には慢性的に眼圧が高くなる緑内障があります。原因としては全身疾患に続発するもの、薬剤の副作用で起きるものなど様々です。原因のはっきりしないものもあります。
これらはまず、正常眼圧緑内障と同じくまず眼圧を下げる目薬、十分に下がらなければレーザーや手術、というのが基本方針です。

No.020-コンタクトをしたまま、薬局で買った目薬を使っているが大丈夫か?

ハードコンタクトレンズなら市販されているものなら、目薬を使ってもまず大丈夫です。
ソフトコンタクトレンズの場合は要注意です。ソフトコンタクトレンズには酸素を通すための、目に見えないくらい小さな穴がたくさん開いています。目薬の中には防腐剤が入っているので、この防腐剤がコンタクトの穴につまるとレンズの寿命が短くなってしまいます。
また、目薬の成分がコンタクトレンズに染み込むと、それが徐々に涙の中に溶けだしてくることがあり、目薬の副作用がでることがあります。
防腐剤の入っていない目薬なら大丈夫なはずですが、薬局もしくは眼科で、お使いのレンズの種類でも大丈夫か確認してから、点眼するのがよいでしょう。

No.019-コンタクトレンズでメーカーを変えたら同じ度数なのにみづらい

コンタクトレンズには度数のほかに以下の要素があります。
1.レンズの直径
2.カーブの強さ
3.エッジの形
4.材質
これらはメーカーによって微妙に違います。
なので、同じ度数でも目につけた時、装用感が違うことがよくあります。
場合によっては見え方が違って見えるときもあります。
メーカーを変える場合は、以前の度数にことさらこだわるよりも、眼科でつけた時に一番よく見える度数で、処方してもらうのがよいと思います。

No.018-コンタクトレンズを希望したいが、痛みを伴う検査はあるのか

痛みの伴う検査はありません。
また「コンタクトレンズのつけはずし」ですが、最初は怖いかもしれませんが、つけはずし自体に痛みを伴うことはありません。
熟練したスタッフが、コンタクトレンズがご自身でつけはずしができるようなるまで、丁寧にご指導しております。
その日につけはずしをマスターできなくても、後日あらためて練習にいらしていただいております。
1週間かけてマスターした方もいらっしゃいます。
私の記憶だと当院ではソフトコンタクトレンズのつけはずしをマスターできなかった方はこれまでいらっしゃいません。

No.017-小学生のこどもがメガネをかけたがらない

授業中、黒板が見えないなどで、メガネを作ったけれども「友達にからかわれるのが嫌だから」という理由で学校でメガネをかけない、いう相談がたびたびあります。
眼科の先生に相談しても「それでもかけないと見えないのだから、しっかりかけるよう言い聞かせてくださいね」といわれて終わりにされてしまうこともあるようです。
結局、一度も学校でかけることがないまま、翌年の学校検診の視力検査でひっかかってしまい、「眼科で再検査を」の紙をもらうという事態になることさえあります。
なので、この問題は、「お子さんにいかにしてメガネをかけてもらうか」ということが焦点になると思われます。
そこで、まずはめがねをかけた小学生の患者様に「学校で初めてめがねをかけたときは、お友達に何かいわれた?」とさりげなく聞いてみました。
そしたら意外なことに、ほとんどの方が「思ったより何も言われなかった」
「みんな、あまり無反応だった」という回答でした。
実はメガネをかけて学校に行っても、実際にからかわれることは、ほとんどないようです。
自分で「メガネ=ダサい、かっこ悪い」と思ってしまっていることが多いです。そのため、他人からもそう思われるのではないか、という不安が生まれるのです。
なので、まず「メガネってかっこいいかも・かわいいかも」と思ってもらう工夫が必要です。大げさにいうと意識改革です。
お子さんの意識改革にはまず親御様からです。メガネに対する否定的な言葉を控えます。
普段から「ゲームしてるとメガネになるよ!!」、眼科で「なんとかメガネにならない方法はないですか?」などと言っていると、お子さんの潜在意識の中にメガネ=悪いというイメージが刷り込まれてしまいます。そういった言葉は控えるようにします。
先に、親御さんがおしゃれなメガネをかけるのも手です。伊達メガネでもオーケーです。
さらにテレビなどで、メガネをかけた人気タレントが出てきたときに「あの人のメガネかっこいいよね」とさりげなく会話する。
そしてメガネ屋さんでフレームを選ぶとき、お子さんがメガネをかけた瞬間、「かっこいい!」「かわいい!」と褒めてあげてください。
学校の先生に「こどもがメガネをかけて登校したら、かっこいいね!と褒めてあげてもらえませんか」とお願いしておくのもいい方法です。
それでもやっぱり学校ではかけられない・・・というケースもあります。稀ですが「友達に笑われてしまった」という例外的なケースもありました。その場合は、無理強いはせず、クラス替えの時にメガネをかけはじめるようにしています。
いずれにせよ、焦らず・あきらめず、少しずつメガネに対する肯定的なイメージを作っていくことがポイントです。

No.016-パソコン業務が多く、目が疲れて仕方ない

現代はパソコン社会といってもいいほど、何をするにもPCの液晶画面をみなくてはならない時代になりました。それに伴い、昔ではなかったような、異常な目の疲れを感じる方が急増してきています。なぜパソコン業務で目が疲れるのか?

■理由1
1番の理由はパソコン業務は「近くを見る作業」だからです。以外に気づかれてない方が多いのですが、パソコンの液晶画面をみるのは、本を読んだり新聞をみたりするのと同じく、「近くを見る作業」なのです。

眼球の中には、ピントを近くに持ってくるための小さな筋肉があります。近くを見るときはこの筋肉がギュッと収縮して、ピントを近くに寄せるのです。
近見作業であるパソコン業務中も、この筋肉はずっと収縮しているので、長時間続くと筋肉痛を起こしてきます。

重いものを何時間も持っていると腕がだるくなってくるのと同じ原理です。さらに無理をすると筋肉痛が広がり、頭痛も引き起こし、最後には肩こりや吐き気まで起こすこともあります。

■理由2
2番目にパソコンを見るような業務は得てして重要な業務が多く、ミスができないため集中します。人は集中すると「まばたき」が少なくなります。すると目が乾いてドライアイになります。

集中しているので、目が乾いて痛くなってきているのに気付かず、休まず作業してしまい渇きが悪化します。

■理由3
3番目には、モニターの位置が高すぎることが考えられます。人は自分の顔よりも高いところにあるものを長時間みると疲れます。株式のトレーダーの方などは目線よりも高いところにあるモニターを長時間集中してみるため眼だけではなく肩こりや頭痛まで抱えている方が多いのも事実です。

パソコン業務をするときに目が疲れない方法としては

1.パソコン用メガネの作成。
パソコン用メガネはピントを近くに持ってくる意味があります。本来目の中の筋肉が行っていたピントを近くに持ってくる役割を、メガネで代用させるのです。すると、近くを見ても筋肉は収縮しなくてよいので筋肉痛も起こりにくいというわけです。

パソコンは近くを見る作業と前述しましたが、厳密には老眼鏡よりもちょっと遠くにピントが合うくらいの中距離のメガネがベストです。当院ではパソコンで目が疲れる方はパソコン用メガネを処方しております。

裸眼で1.0あるような方には一般的な老眼鏡よりも少し弱いくらいの度数のメガネ。一方、もともと近視で、すでにメガネをかけている方には今のメガネよりも度数を少し落としたメガネをもう一本PC用メガネとして処方します。いずれも実際のパソコンの距離をみながらメガネを合わせていきます。

○メガネ購入時の注意点
メガネは眼科での試しがけの時はよく見えても、実際に出来上がってきて、かけてみるとよく見えない場合があります。レンズ枠の大きさや鼻当ての位置によりレンズの中心に目の中心が来てなかったりなど、色々原因が考えられますが、場合によってはレンズの度数を変えることもあります。
なので眼鏡屋さんで購入するときには、その店に保証期間があることを必ず確認してください。保証期間内であれば無料で度数交換が可能です。

2.休憩を入れる。
パソコン作業は集中してしまうので、ついつい2時間、3時間と休まずに没頭してしまいがちです。
その間、眼球の中のピントを近くに持ってくる筋肉も緊張しっぱなしになります。
できれば30分に一回、無理なら1時間に一回窓の外の遠くの景色を1分くらい眺める休憩を入れます。筋肉をゆるめてあげるわけです。
「そんなことをいっても現場は忙しいし、周りの手前、休憩はとれない」という方は、ときどきモニターから目を離して、チラッと壁の方を見るだけでも効果があります。休憩中ドライアイ用の目薬をさすのもよいでしょう。

3.モニターの位置を下げる
現在のモニターの位置が目線以上にある方は、机やイスの高さを調節して、モニターが目線よりも下に来るようにしてみてください。

4.蒸しタオル
一日の仕事が終わり、帰宅されたら、やけどしない程度に熱い蒸しタオルを作り、目を閉じてそっと目の上にのせます。
すると目が暖まり、目の血行がよくなり、ピントを近くに持ってくる筋肉の疲れも取れます。蓄積しがちな目の疲れを翌日に残さないようする意味もあります。

パソコン作業で目が疲れる方は、以上のような工夫を行っていただくことをお勧めいたします。

No.015-厳密には何時から何時まで受け付けてもらえるのか

午前は9:00~12:00
午後は15:00~20:00(土曜は18:00まで)
となっております。予約制ではないので、初診・再診問わず、いきなり来ていただいて大丈夫です。もちろん13:15などギリギリの時間でもお受けいたします。
水曜・日曜・祝日は休診日となっております。

No.014-コンタクトをしたまま寝てしまうと目の奥に入って取れなくなるのか

「昨日ソフトコンタクトをしたまま寝てしまった。朝起きたら鏡でみても見当たらない。目の裏側にいってしまった!!」とあわてて受診されることがあります。
実際は、目の裏側まではいくことはありません。コンタクトはずれて上や下など、どこにずれても、眼球は結膜という膜のために360度行き止まりになっているので、眼球の裏までいってしまうことは物理的に不可能なのです。
たいていは上まぶたの裏の行き止まりのところで折れて止まっているか、探している間に飛んで床に落ちているかです。ご心配であれば眼科受診していただければ、顕微鏡でチェックして、もしあれば簡単に取れます。

No.013-コンタクトレンズがずれるようになった

「巨大乳頭結膜炎」の可能性があります。
ソフトコンタクトレンズ、特に2週間で使い捨てるコンタクトレンズに多く見られます。1か月タイプや使い捨てではないソフトレンズでも起こります。コンタクトレンズは使い始めて1,2日のときはいいのですが、そのうちだんだんレンズにタンパク質がこびりついてきます。
このタンパク質にまぶたの裏の粘膜がアレルギーを起こし、上まぶたの裏にブツブツ(巨大乳頭)ができてきます。このブツブツがコンタクトをひっかけて上に持っていってしまってずれるのです。コンタクトを装用している限り、ブツブツがよくなることはないので、しまいにはコンタクトが上にずれたままになり、つけていられなくなります。
治療法としては当院では1週間コンタクトを中止していただきます。その間にステロイドの目薬でブツブツをなくします。目薬でブツブツが消えたら、コンタクトを再開するのですが、その時はよりタンパク質が落ちるよう、これまでお使いのものよりも強いコンタクト洗浄液をお勧めしております。
洗浄液を強力なものにして再発することはまれですが、どうしても再発してしまう場合は、ワンデータイプのコンタクトに換えるしかない場合もあります。

No.012-こどもでもコンタクトレンズは使えるのか

可能です。ただし原則的には、コンタクトレンズは高校生になってからが好ましいと思います。理由は「管理の問題」です。
コンタクトレンズの洗浄や保存などの管理をお子様に任せきりになり、おろそかになると、コンタクトレンズに細菌が繁殖しやすくなり、角膜潰瘍など、思いがけない眼の病気を引き起こすことがあります。
なので、当院では中学生以下の方にコンタクトレンズを処方する場合は、親御様に洗浄や保存などの管理を行っていただくよう、お願いしております。
小学生の方には基本的にはコンタクトの処方は行っておりませんでしたが、バレエの発表会やバスケの試合などで、どうしてもメガネでは困るというご要望が多いので、小学校6年生(場合によっては5年生)から処方することになりました。
ただしコンタクトレンズには子供用の大きさというものがなく、大人用の大きなものになるので、毎日つけていると黒目の酸素が不足したり、コンタクトが動きにくくなってコンタクトと黒目の間の涙液の循環ができなくなる可能性があります。なので、必要時のみつけるということが望ましいと思います。

No.011-白内障手術は痛いのか

痛くないことが多いです。多いです、と書いたのはまれに痛みを感じる方もいるからです。基本的に麻酔も目薬なので、痛みなく手術に入れます。
ただし、まれに水晶体が硬かったりして時間がかかることや、普通の人が痛がらないような刺激でも敏感に感じてしまい、痛がる方もいらっしゃいます。
そういった場合は、手術中に局所麻酔を追加することもあります。

No.010-白内障といわれたがすぐに手術をしないといけないのか

よくあるご質問です。
当院にいらっしゃる患者様で「よその眼科で白内障だから手術が必要といわれた。本当に必要なのか?」といって来院される方がいらっしゃいます。

結論からいえば「日常生活で不自由を感じるまでやる必要はない」です。
ずいぶん適当な言い方だな!と思われかもしれません。
実際に「よその眼科で医者から「手術するかどうかは自分で決めてください」なんて言われた!医者なのに無責任な言い方だ!」と怒ってこられる方もけっこういます。

確かに、その眼科医の言い方に問題はあったのかもしれません。
でもやはり「ご自身が日常生活で不自由を感じるならやるべき」なのです。これには理由があります。それは白内障という病気の特殊性です。白内障という病気はかなり進んでも「白内障そのもので失明することはない」のです。

もちろん本当の本当に行き着くところまで進んでしまったら、2次的に緑内障になったり、眼球内に炎症を引き起こしたりする場合はあります。この場合は例外です。そこまで進むと、医師の方も手術を強く勧めます。

白内障と言われた方で、ご心配な方は、そういった危険性がないかどうか眼科で聞いておくとよいでしょう。でも一般にいわれている白内障そのものでは失明することはまれなのです。

なので網膜剥離のように急いで手術をする必要もありません。かなり待てるのです。白内障は時間的に短くて痛みもほとんどない手術です。ですが、やはり手術には違いありません。

手術であるからには、本当にごくごくまれですが、手術中や手術の後に合併症をおこすこともあり、その中には失明するような合併症もあります。
そのような合併症は、現代でも世界中のどんな大学病院や、有名な眼科病院でも必ず一定数は起きており、残念ながらいまだ不可抗力と言わざるを得ません。

学会や研究会では、白内障術後に合併症が起きないようにする方法がないものかと、日夜研究されているため、頻度は減っているものの、残念ながらまだ完全予防にはいたっていません。なので、まだしっかり見えていて、日常生活になんら不自由していないのなら、白内障の手術は無理にやることはないと私は思っています。

合併症を起こす可能性が0の手術ならば早くやったほうが気分的にすっきりするでしょうが、少しでもリスクがあるのなら必要なときが来た時にやるべきです。

「それでも、自分では決められない。先生決めてくださいよ!」とおっしゃる患者様も実際は多くいらっしゃいます。

そのような場合には、外出中、通りすがりの人の顔が見えないとか、視力が0.7以下になってきたら「そろそろ手術しましょうか」とご提案しております。

あるいは白内障もある程度進むと、水晶体が硬くなって手術に時間がかかる場合があります。そうなる前に私から手術を勧めることもあります。

No.009-別の店・もしくはネットで買うのでベースカーブと度数だけ教えてほしい

最近多いリクエストです。
中には、自分の眼科の横のコンタクトレンズショップで買うことを、半ば強制するようなクリニックもありますが、本来は眼科医院にはそのような強制力はないはずです。
コンタクトレンズを、どこで購入するのかは患者様ご自身の権利であり、そのためのデータをお教えするのは当然の義務と考えております。ただ、どこで買うにせよ、眼科でコンタクトレンズ処方箋は発行してもらったほうがよいでしょう。
余計な診察料がかかるといやなので、ベースカーブと度数だけ教えてくれれば、コンタクト処方箋はいらない、とおっしゃる患者様もおられます。が、実は法律の関係で、コンタクト処方箋をもらっても、もらわなくても帰りに病院の窓口で支払うお金は同じ料金なのです。
それにクリニックによっては器械で測っただけのベースカーブと度数を、そのまま教えてくれて終わりにされるかもしれません。それをもとにコンタクトを買うのはやめた方がいいです。
「コンタクトレンズのベースカーブと度数」は実際に視力を測り、装用してみて医師が診察室でフィッティングをみて総合的に決定していきます。
器械で測った値で作ったコンタクトでも、全く見えないということはないかもしれませんが、目にはあってないことが多いので「なんだか見づらい・なんかゴロゴロする」とモヤモヤしながら生活することになるかもしれません。最悪、フィットしてないために目に傷がつくこともあります。
なのでコンタクトを買うときは、眼科で「コンタクトの処方せん」をもらうことをお勧めします。
あとネットで注文する場合は、CMでやっているような名の通ったメーカーの製品を推奨します。残念なことですが、通信販売のコンタクトの中には正直、質の良くないものがあり、コンタクトレンズトラブルを起こすのもそういった製品が多い印象があります。
ただネットよりも、再購入時に眼科医の健診があるようなところで購入したほうが、定期検診の必要性からいっても、ベストだと思います。

No.008-糖尿病で眼科へ行くよう言われているが、何か月ごとにいくべきか

これは糖尿病の患者様にとっては確かに知りたいことかもしれません。
当院ではおおむね、以下を目安にしています。

・HbA1cが6以下なら3か月に一回
・HbA1cが6以上なら2か月に一回
・HbA1cが10以上なら1か月に一回

眼底出血があったりすると、落ち着くまではもっと短い間隔で来ていただいたり、ご高齢の方で通院困難な場合は少し長くしたり、多少幅はありあります。
「自分では見え方はなんともないのに、通院していったい何をみているのか?本当に必要なのか?」といわれることもあります。

それは眼の中の眼底(網膜)に出血や油のしみだしなど、糖尿病による目の変化がないかを観察しています。これらの変化は「糖尿病網膜症」とよばれ、いつも成人の失明原因の上位にくる病気です。

早期にレーザーなどで治療すれば軽くすむことも多いのですが、早期では自覚症状がありません。かなり進まないと自覚症状がでにくいのですが、そうなったときにはかなり進行しており、手術をしても手遅れのこともあります。

実際私が大学病院で入院患者様を担当していた時代は、かなり進行した糖尿病網膜症の患者様がいろいろなクリニックから、毎日紹介されていらっしゃいました。
そのうち、手術やレーザーで失明をまぬがれた方も多かったのですが、すでに手遅れに近い状態の方もおられ、そのたびに「もっと早く眼科受診していれば・・・」とつらい思いをしたことが何度もありました。

眼科医にとって患者様の目が見えなくなることほど、つらいことはありません。一生忘れることができません。

なので、糖尿病で受診された方には「自覚症状がなくても、くれぐれも通院を中断しないでください」と常日頃から申し上げております。

No.007-コンタクトレンズを購入するときの定期検診が面倒

確かに実際は自覚症状がなければ、問題ないことが多いのも事実です。なのでついつい足が遠のいてしまうのかもしれません。
ただし、コンタクトの定期検診をしていると、酸素不足のため、くろめに血管が入ってきていたり、小さな潰瘍ができかけていたりして、治るまでコンタクトを中止することがあります。なのでやはり定期検診は受けた方がいいでしょう。3か月に一度受けるのがベストです。
通販などではなく、コンタクトを購入するときに、必ず眼科医の診察があるようなところで購入するようにすれば、おのずと定期的に健診を受けられるので、お勧めです。

No.006-コンタクトレンズは注文できるのか

一番多い形態は眼科とコンタクトレンズショップが併設しており、検査を眼科で行いコンタクト処方せんを発行し、そのままショップでコンタクトを購入するというパターンです。
最近ではホームページ上で、コンタクトレンズのデータを入力・注文し、ネットで通販しているコンタクトレンズショップもありますが、店舗として存在していないため、仕入れ先などの実態が不明で、安全性に問題があるかもしれません。
当院では、隣接しているコンタクトレンズショップで注文することができます。
当院でコンタクト処方箋のみをもらって、別のコンタクトレンズショップで購入していただいても結構です。

No.005-近視は治るのか

治るものと治らないものがあります。

■治る可能性のあるもの
小学生など、こどもは目が柔軟なため、大人よりも近くを見る力が非常に優れています。でもかえってこれが災いし、本を読んだり携帯ゲームなどをやるだけで、ピントが近くによったままもどらなくなってしまいがちです。
遠くをみようとしてもピントが近くによってしまったままなので、視力表の0.3とかまでしか見えないのです。

ただこの場合は、ピントがよってしまっているのは一時的なので、遠くを見る、ピントを遠くに戻す目薬などで視力が戻る可能性はあります。
当院でも小学生でこの可能性がある場合は、ご希望に応じて目薬の治療を行っております。小学生でも目の形自体が近視になっている場合もあるため、必ず視力が上がるというものではありませんが、メガネを避けたい場合など、トライする価値はあると思います。

■治らないもの
20歳をこえて視力が悪い場合は、目の形自体が近視の形になっていることが多いので、これを治してずっとメガネやコンタクトいらずになるためには手術しかありません。
手術は黒目の表面をレーザーで削るレーシックをはじめ、眼内レンズなど色々あります。

No.004-使い捨てコンタクトのほうが目にいいのか

その通りです。理由は単純です。
「汚れる前に交換してしまうから」
ただしワンデーではない、2週間タイプや1か月タイプなどは、毎日交換するわけではないので毎日のこすり洗いをしっかりしないと、すぐに汚れがたまって結膜炎になります。実際に一番トラブルが多いのはこれらのレンズでもあるのです。
毎日のこすり洗いが面倒でどうしてもさぼりがちになる、という方にはこすり洗いの不要な洗浄液があります。
詳しくは眼科検査の際にご相談ください。

No.003-ソフトとハードはどちらがいいのか

私の意見としては「ハード」です。
ハードの方が直径が小さいので、黒目全体を覆わないため、酸素不足になりにくく、乱視も自動的に矯正されるのでくっきりみえます。結膜炎にもなりくい。
ただし、つけ始めがゴロゴロするので、慣れるまでが大変です。あとは何十年も使うと、まれにまぶたの腱がのびて、まぶたが落ちてくることがあります。
実際にはとっつきやすい「使い捨てソフト」がいちばん人気です。ほぼ毎日使うとしたら、年間の費用は
ワンデー>2週間使い捨て>1か月使い捨て>使い捨てでないソフト
となり、年間でみるとワンデーがもっとも高いです。
そのかわりワンデーは毎日交換するので結膜炎などのコンタクトレンズトラブルが少ないです。長く使うレンズ程、汚れがたまりやすく、2次的にドライアイや充血を起こしやすくなります。
「ソフトだとすぐ充血するので、ワンデーにしたいけど高くて無理だ」、という患者様には2週間使い捨てコンタクト+こすり洗いのいらない強力洗浄液をおすすめしております。
収益が上がらないためか、コンタクトレンズ専門店ではあまり勧めないようですが、私はコンタクトでアレルギーを起こしやすい患者様にとってはうれしい組み合わせだと考えており、積極的にお勧めしております。

No.002-健康診断で視神経乳頭陥凹と指摘された

人間ドックや健康診断で、「視神経乳頭陥凹」とか「視神経乳頭陥凹拡大」などと、書かれていることが時々あります。

これは、健診の時にとった目の奥の写真(眼底カメラ)を、健診担当の眼科の医師がみて、そこに写った目の神経(視神経乳頭)を観察し、診断しています。

脳から神経が出て、目に入ってきたところが視神経乳頭です。
視神経乳頭にはもともと少しへこみ(陥凹)があり、陥凹自体が病気ではありません。しかし、陥凹が大きい場合は、緑内障が疑われます。ですので、「緑内障の疑い」と診断されたと理解して下さい。

とはいえ正直なところ、健診結果に視神経乳頭陥凹拡大とかかれていても本当に緑内障になってしまっている方は一握りです。

なのであまり絶望的に考える必要はありません。あくまで健診というスクリーニングのため、少しでも疑わしい所見があれば「眼科で精密検査を」となるわけです。しかし健診で緑内障のサインがわずかでもあるということは事実なので、必ず眼科を受診するようにしてください。
検査は眼科一般検査に加え、緑内障は視野が欠ける病気なので視野検査も必要となります。視野検査に異常がなければ緑内障は否定されます(一部のまれで特殊な緑内障は除く)。
万一本当に緑内障だった場合はまずは目薬の治療となります。加えて定期的な視野検査で悪化していないかどうかみていきます。
緑内障だったとしてもほとんどの人は目薬のみで病気の進行は止まります。加えて目薬も毎日一日1回か2回だけ点眼すればよいものがほとんどなので、治療自体はストレスのかかるものはありません。

まれに、目薬だけでは視野が欠けていくのが止まらないケースがあるので、その場合は、レーザーや手術による治療も必要になることもあります。

No.001-視力が落ちない食事はあるか

患者様からよく聞かれるのが、「目にいい食べ物を教えてください」という質問です。他の眼科では「現実はたかが食べ物で目がよくなることはないなあ。目薬や手術で治療しなくては効果がないですよ」といわれることもしばしばのようです。

医学部では栄養学の授業はない上に、特に眼科医は、臨床の現場に出てからも、ひたすら外来・病棟・手術・論文で忙しいため、栄養学に関しては疎くなりがちです。そのため、眼科の先生は栄養と目についてはあまり重視しない傾向にあります。

独学で、栄養学や東洋医学を学ばれる熱心な先生もおりますが、他の業務も忙しいために、栄養士に匹敵する知識を習得するのはなかなかに困難なのが現実です。

そのため、食べ物に関して聞いても詳細な回答は期待できないでしょう。そこでインターネットや書籍などを検索するのですが、世の中には視力が回復する食事やサプリメントの情報があふれています。

たとえば・・・
ブルーベリーを食べれば目がよくなり白内障にならない!!
○○のサプリメントで目の病気が治る!!
などなどです。

たしかにブルーベリーにはアントシアニンが含まれており、ものを見る「網膜」の成分として欠かせないものです。これ自体は事実なのですが、では毎日毎日たくさんとれば、その分だけ眼もよくなるのか、というと、実際はそうでもありません。

実は果物の過剰摂取は、肉の脂肪分を食べるよりもすっと太りやすく、最悪、糖尿病を引き起こす可能性もあります。ブルーベリーは果物の中では比較的低カロリーですが、ブルーベリージャムなどは高カロリーです。

大学病院時代、糖尿病網膜症の患者様で「眼にいいと聞いたから、毎日ブルーベリージャムをたくさん食べている」とおっしゃっていた方がいたのですが、そのために糖尿病の血糖コントロールがうまくいかず、ブルーベリージャムをやめてもらうのに一苦労した経験があります。

ブルーベリーを含め、目にいいサプリメントを執拗にすすめる業者は、実際に患者様に向き合って治療した経験もなく、ネットで調べたりしただけの知識で過大広告をうたっている場合がほとんどです。

そういった者ほど、利益優先です。大切な目を守るためにも、これらに振り回されないことが肝要です。 参考までに眼に関係する栄養素を以下にあげます。

・ベータカロテン(ビタミン前駆物質)
– 小松菜、ほうれんそう、かぼちゃ、にら、にんじん、ブロッコリー、ミツバ、モロヘイヤ、アンズ、スイカ、ビワ
– 夜盲症の予防(抗酸化作用→目の細胞や粘膜の新陳代謝を保つ)

・ビタミンA
– レバー(牛肉・鶏・豚)、うなぎ、にんじん、かぼちゃ
– 夜盲症の予防(抗酸化作用→目の細胞や粘膜の新陳代謝を保つ)、網膜や粘膜を保護、ドライアイ改善

・ビタミンC
– 赤ピーマン、芽キャベツ、レモン、アセロラ、ゆず、キウイ、オレンジ
– 白内障の予防(水晶体の酸化防止・透明度を保つ)

・ビタミンE
– かぼちゃ、アーモンド、うなぎ、子持ちカレイ、キングサーモン、ツナ油漬け、植物オイル
– 疲れ目・老眼(血行促進作用)

■ビタミンB群
ビタミンB群は、B群全体が相互に働きあい、作用を強める。視力低下防止、目の疲れを回復充血を回復。

・ビタミンB1
大豆、えんどう豆、きな粉、グリーンピース、豚肉、うなぎ、たらこ、玄米
視神経の働きを促進
目から脳への神経伝達機能を正常に保つ

・ビタミンB2
牛乳、ヨーグルト、レバー、うなぎ、さば、サンマ、納豆
視神経の働きを促進、目の細胞の再生、充血と疲れ目を回復

・ビタミンB6
– レバー(牛・鶏)、かつお、マグロ、バナナ、さつま芋
– 皮膚や髪、歯などの健康維持に役立つタンパク質の分解や再合成に欠かせないビタミン。脂質の代謝をサポート。

・ビタミンB12
– 赤貝、あさり、牡蠣、レバー(牛・鶏)、わかさぎ
– 造血作用にかかわるビタミン。不足すると視神経症がおこることがある。

・ポリフェノール(カテキン類)
– 緑茶
– 殺菌作用、虫歯・口臭予防、抗酸化作用
・ポリフェノール(アントシアニン類)
– ビルベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、カシス 眼精疲労の防止。近視の進行防止
– (夜間の視力アップや眼精疲労回復)

・カロテノイド(キサントフィル類)
– 卵黄、ほうれんそう、ケール、ブロッコリー
– 老人性白内障の予防、飛蚊症、黄班変性の予防(水晶体・網膜の酸化防止・紫外線ダメージ防止)

・カロテノイド(カロテン類)
– トマト 抗酸化作用
– 紫外線ダメージを防ぐ

・カルシウム(ミネラル)
– 緑黄色野菜、乳製品、納豆、魚介類、海藻類
– 眼球の壁である強膜の機能アップ

・マグネシウム(ミネラル)
– ひじき、昆布類、のり、ほうれんそう、パセリ、豆類、納豆、玄米
– まぶたのケイレンの予防、緑内障(房水の流出をコントロールする効果があるとされる)、(眼球の血液循環維持)、神経の興奮を抑える、血管を広げ血圧を下げる

・DHA
(ドコサヘキサエン酸)不飽和脂肪酸 マグロ、マグイ、ブリ、アジ、イワシ、うなぎ、サバ、サンマ 神経の発達・維持

・タウリン(アミノ酸)
– タコ、イカ、貝類全般など
– 目の疲れを回復、視力回復、目の健康維持、紫外線による目のダメージを回復
目に良いとされる栄養素だけでこんなにあります!

はっきりいって毎日毎日全種類食べることは不可能だと思います。
でもバランスよく栄養はとりたい。ではどうすればよいか?・・・そのためには逆転の発想がよいと思います。

つまり「何をたくさん食べればよいか」ではなく「最近、何が足りていないか」です。

1日に必要な栄養素を「過不足なく」とるためには、「食品群」を利用すると良いでしょう。
(外部リンク)栄養と健康・食事群|日本医師会

家での食事でも、外食でも、「食品群」のそれぞれのグループから、偏りなく、食べるようにすると、栄養バランス良く食べることができています。

さらにバランスの良い献立を考えると、主食、主菜、副菜とこの3つがそろう献立にすると、とても体に良く、栄養バランスのとれた食事になります。これ以外に、汁やデザートをつけるとさらに充実した食事になります。
この食事献立は、国が推進している「食生活指針」でも取り上げられています。

・「主食」とは
主にエネルギー源となる、ご飯やめん、パンが主となる料理のことです。

・「主菜」とは
主に、タンパク質や脂質の供給源となる、肉や魚、卵や豆製品が主となる、その日のメインとなる料理のことです。

・「副菜」とは
主に野菜や、きのこ類、いも、果実が主となるおかずのことです。

この3つのどれかが欠けても、多過ぎても、栄養的には過不足が生じてしまいます。

栄養バランスの良い食事をするためには、この3つをそろえ、主菜が2つあることや、主食の量が多すぎることがないようにしましょう。

また、1食の中に同じ調理法を重ねたり、1日の中では、同じ食品や材料を重ねないことも大切です。

やはり視力回復効果のあるものを積極的にとりたい場合には、デザートに使用する果物を、ビタミンCを多く含む果物に変えたり、主菜に、ビタミンAやビタミンB1B2を多く含む食品にするというように、決して普段の食事にプラスするという考えではなく、普段の食事の食材をおきかえるというように考えてみてください。

サプリメントを使用する場合は、本来毎日の食事から栄養素はとるべきものであり、食事の代わりになるものではないということを頭においてください。
摂取量が多すぎると過剰症が出るものもあります。
医師や、薬剤師に相談し、適正量を守るようにしましょう。

あくまで普段の食事から改善していくのが基本です。また上記と全く違う角度から食事を考える方法もあります。当院では月に一度、漢方・生薬研究に40年携わった薬剤師の先生を招へいして、カウンセリング(漢方眼科)を行っております。

漢方眼科のみにいらっしゃる患者様も多く、眼精疲労から始まり、緑内障やドライアイ、黄斑変性などなど、相談の内容は多岐にわたります。

またカウンセリングの際には薬剤師のカウンセリングとは別に、専属の栄養士による栄養指導も付属で行っております。

栄養指導では、患者様の症状に応じて

1.上記の表にあるような食材をつかった西洋医学的に理想的なレシピ
2.それとは違った漢方(東洋医学)で良いとされる食材をつかったレシピ

の2点を資料として解説・お渡ししております。
冒頭で申し上げたとおり、食事=栄養に関しては専門資格である、栄養士が一番詳しいため、当院では眼科分野を研究している専属栄養士を配置しているというわけです。

ご希望の方はどうぞ受付でお申し付けください。

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